桃から生まれた半農半カフェスタイル

西森ひとみさんの画像

ピーチガーデン 西森 ひとみさん

西森さんは、徳島県板野町生まれ(桃農家歴15年、ジャム製造販売歴10年、ピーチィナカフェ経営5年)。地元大学卒業後、県内で保育士、経理事務、飲食など多種多様な仕事を経験。

一時は家業の桃農家を手伝いながら保育士の仕事をする働き方をしていたそう。売り物にならない桃を有効活用したジャムをマルシェなどに出店販売したところ徐々にファンが付き、お客さんから常時買えないか問合せが来るように。

そこで、今までの経験を活かしたジャム販売も含んだカフェを始めることを決心。
今では、桃農家をしながら収穫した桃を使ったメニューをメインとしたカフェ経営をし、ピークの時期は他県から訪れるほどに!

桃のジャム

どうして農家をしていますか?

西森さん:板野町は桃農家が多いのですが、後継者不足に伴う農家の高齢化で周りの桃農家さんが廃業していくのを見て危機感を感じていました。

そんな中、両親も高齢になり、祖父母の代から続いている桃農家を絶やしたくないという思いで、保育士を辞めて本格的に家業を継ぐ決心をしました。

現在の生活様式にしようと思ったきっかけや経緯は何ですか?

西森さん:産休中、家業を手伝っていた中、傷モノや熟れすぎて売りに出せない桃を捨てるのはもったいないと思い、有効活用のアイデアとしてジャムを作ろうと考えました。

瓶詰製造許可や検査の煩わしい手続きを経て、なんとか桃のジャムやドリンク販売で徳島マルシェに参加するようになりました。他店舗とのコミュニティもでき、他県のフードイベントなどにも出店するようになりました。

おかげ様でリピーターのお客様も増え、販売している場所をよく聞かれるようになり委託の販売店を紹介しているうちに固定した自身の販売所を持ちたいと考えるようになりました。

露店イベントでは衛生面から多くの規制があり限界を感じていたことやジャム販売だけではなくもっとバラエティのとんだ桃を使ったメニューをお客様に提案し喜んでいただきたいと思い、カフェをオープンすることにしました。

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こだわりや工夫したことはありますか?

西森さん:これまでは、仕事に通いながら桃農家を手伝っていましたが、桃農家を継ぐと決心したことで、新たな販路を開拓することを考えました。

桃農家にしかできないこと、桃農家だからできることとはなにか。 そこで、シーズン中は新鮮な桃を使ったスイーツ、シーズンオフでもコンポートなどを使ったメニューを提供し、一年中桃を楽しめるカフェにしました。 桃の直売所も併設し、シーズン中は新鮮な桃が購入でき、桃狩りも楽しめるようにしています。(現在は体験中止中)

これらは桃の栽培があってこそ成り立ち、同時にカフェを経営していく必要があるため、保育士を退職して桃農家と六次産業のカフェ経営に専念することにしました。

カフェのメニューのスイーツ作りはどこかで習ったのですか?

西森さん:元々小さな頃からお菓子作りが好きでよく作っていました。

飲食店勤務の時に調理師免許を取得していましたが、お菓子作りは独学だったので一年ほど調理学校で基本や応用を勉強し、メニューを開発しました。
看板メニューの桃のピザは東京のピザ講習店でピザ作りの基本工程やノウハウを勉強し、ピザ専用オーブンで美味しいピザをご提供できるよう試行錯誤しました。
また、前職の経理の仕事やイラストレーターを使用した制作が、現在のカフェ経営の経理処理やジャムのパッケージ作りに役立っています。

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苦労したことや、デメリットなどあれば教えてください

西森さん:農家が従業員を雇うと採算が合わずに大変なんです……。
繁忙期だけ雇われる農家さんは多いのですが、桃農家の場合、桃の選定のようなデリケートな扱いが必要で、すぐにできるものではないのが難しいところです。

また、桃の木は実がなるように育つまでに最低3年から5年かかるのです。台風の影響やカミキリムシなどの害虫にやられて木が駄目になると、同じ場所に新しい木を植えると育たない特色があるので土地が有効に使えないのが現状です。

やってみて良かったこと、メリットはなんですか?

西森さん:県内でさえ徳島に桃があるとあまり知られておらず、お客様には「他県で有名な岡山産や山梨産ですか?」と聞かれたこともあります。

マルシェに出店するようになり板野町の桃の認知度があがってきました
カフェをするようになってからは県内でファンのお客様も増え、徐々にSNSや口コミで県外からお店を探して来てくれる人も増えたので、とても嬉しいです。

一日のスケジュールを教えてください

西森さん:3~5月は朝6時から10時まで農園、11時からカフェ、16時半からまた農園です。

定休日の金曜日はジャムなどの販売所への配達やお客様への郵送などでほとんど家にいません。
カフェが休み月の6月は収穫時期で農作業のみとなり、朝4時から収穫作業をして、7月からの期間限定で出す桃のストック作っています。

収穫が落ち着いたらピザ窯の移動など内装を変更して7月に備えます。カフェも桃もオンシーズンの7月~8月の上旬までは、毎日が忙しい半面、お客様も楽しみにしてもらっているのでやりがいがあります。

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今後考えられている展望はありますか?

西森さん:現在、女性農家さんのコミュニティで繋がった板野の農家さんや酪農家の方達とita農というコミュニティを作りました。

桃を県外からわざわざ買いに来てもらうのも大変なので、ita農メンバーで県外の方への通販サービスとしてECサイトを作りたいと思い、現在進行させています。

これから農業を始めようとする人へのメッセージなどありますか?

西森さん:農業を始めたばかりだと分からないことも多いし慣れるまで大変ですが、自分が楽しいと思いながらすることが一番です。
自分が出来ることを出来る範囲で楽しんでやると、続けていけると思います。

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